新井田雅之さん

interview 04

優しさは、バトンのように 受け継がれていく

人を尊重し、変化と成長を続ける

唯一無二の総合不動産会社へ

新井田雅之さん 代表取締役社長

清水建設からの出向を経て、2024年4月に清水総合開発の代表取締役社長に着任。さまざまな開発から管理まで一貫して手がける「真の総合不動産会社」を目指し、社員が生き生きと働ける環境づくりに力を注いでいる。

(2026年7月末時点)

01 はじまり

331人の重みを肩に感じた、着任の朝

2024年4月1日。この会社に着任したときのことを、今でもよく覚えています。入社式で新入社員を迎え、たくさんの方に挨拶をしながら、ふと、331人(当時)という数字の重みを感じ、その責任の大きさに身が引き締まる思いでした。

数日会社で過ごすうちに伝わってきたのは、人柄のいい社員がとても多いということでした。素直で、穏やかで、少し奥ゆかしいくらいの人たち。仕事のうえではすべてが強みになるとは限りませんが、そんな空気こそがこの会社らしさの原点なのだと感じました。

採用活動で学生さんに「なぜこの会社に決めたのですか」と尋ねると、決まって返ってくるのは「先輩たちの雰囲気が良かったから」というひと言です。その言葉を聞くたび、私はどこか誇らしいような、あたたかい気持ちになります。社員一人ひとりがつくってきたその空気は、きっと長い時間をかけて、少しずつ次の世代へと受け継がれてきたのでしょう。

02 積み重ねた日々

任せてもらった仕事の分だけ 自分も大きくなれた

もともと大学では都市計画を学んでいました。街並みという、目に見えるかたちで何かを世の中に残していける仕事がしたい。そんな思いで、この業界に足を踏み入れたのです。

清水建設にいたときには若い頃から大きなオフィスビルの開発をいくつも任せてもらいました。規模の大きなオフィスビルを立て続けに3棟、任せてもらったときには、課された責任の大きさやプレッシャーに潰れそうになることもありました。しかし、あの年代では貴重なことを経験させてもらい、その分成長できたという実感があります。

そのとき、常に心にあったのは、「自分が正しいと決めつけず、いろいろな人の話を聞く」ということ。「先輩や後輩なら、どう考えるだろう」「世の中のお客様はどのように思うだろう」など、立場の異なる人の視点を想像してみる。そうやって自分とは違う考えに目を向けていると、解決策が浮かんできたり、知らないところで誰かが救いの手を差し伸べているのが見えてきたりするものです。

自分を信じる。その一方で素直に、謙虚に。いつでもそうありたいという考えは、きっと若い頃にたくさんの方たちにもまれた経験の中で、知らず知らずのうち身についていったものなのだと思います。

03 忘れられない瞬間

周囲の声に耳を傾け、 自分の信念を確かめていく

今でも忘れられない経験があります。30代前半の頃に担当したあるビルの開発で、大きな反対運動が起きたのです。テレビ局が取材に駆けつけるほどの騒動になり、週末のたびに現場へ足を運び、住民の方々と話し合う日々が続きました。

事業者として進めなければならない一方で、反対する方々にも、それぞれの思いがあります。だからこそ、できるだけ多くの声に耳を傾けました。建物がマンションから見えにくいよう配慮したり、距離や高さを見直したりと、できる限りの対応を重ねました。そうした経験を通して、自分がすべて正しいと思うのではなく、いろいろな人の意見を聞いたうえで、それでも「これは正しい」と思えることを形にしていくことの大切さを学びました。

利益は大切だけれど、それだけではものごとを進めることはできない。この仕事は本当にお客様のためになっているか、社員の経験になっているか、世の中から見ておかしくないか。

自分なりに「これが正しい」と思える軸があれば、少しくらい失敗しても、もう一度頑張ることができる。あの経験を通して身についた自分への問いかけは、何か重要な判断をする際の軸として、今も私の中に残っています。

ここだけの話

完成したビルには、施工年月を刻んだ「定礎板」という石板があります。週末に家族を連れて、自分が携わったビルを見に行くことがあったのですが、その定礎板の前で「この文字はお父さんが書いて、その裏にある箱の中には自分も含めた関係者みんなの名刺も入っているんだよ」と、つい得意げに話してしまいました。

04 そして、いま

誰かの挑戦を、誰かが支える その繰り返しの先に、会社は育つ

社長に就任したからといって、私自身が大きく変わったわけではありません。これまで積み重ねてきたものの上に、もう一つ石を重ねるような気持ちで、日々業務や社員と向き合っています。

普段から大切にしているのは、誰かが前へ踏み出そうとする姿をきちんと見つめ、その挑戦を認めること。そして、一人ひとりが新しいことに挑める機会と雰囲気をつくることです。
実際に、社員から「やってみたい」という声が上がり、ホテル事業や学生寮、防音マンションといった新たなプロジェクトが、少しずつ形になっています。

これからさらに力を入れたいのが、開発と管理の両方を担う当社の強みを生かすことです。たとえば、PMで管理受託したお客様の物件を開発へつなげる。あるいは、運営で培ったノウハウを生かし、シェアオフィスを自社で手がける。開発と管理を別々の事業として考えるのではなく、互いの知識や経験をつなげていけば、他社にはできない新しい価値を生み出せるはずです。

私たちは、まだ「超一流」と呼べる会社には届いていません。それでも、社員が安心して声を上げられる環境をつくり、挑戦や努力をきちんと評価できる仕組みを整えていく。そうした一つひとつの積み重ねが、会社を着実に成長させ、次の未来をつくっていくのだと思っています。

05 これからの未来

一人ひとりの輝きが、 会社の未来を拓いていく

私たちが目指しているのは、開発から管理までを一貫して担える、「真の総合不動産会社」です。一人ひとりのお客様に丁寧に向き合い、すべての仕事に心を込める。その手仕事のような温かさこそが、清水総合開発らしさだと思っています。

いつかは、上場を目指せるほどの力を持つ会社になりたい。そのために大切なのは、住宅を購入してくださる方やオフィスを利用される方はもちろん、土地を紹介してくださるパートナーやゼネコンの方々にも、「清水総合開発と関わってよかった」と思っていただくことです。そうしたファンを一人ずつ増やしていくことが、未来への確かな力になると考えています。

社員一人ひとりが仕事に誇りとやりがいを持ち、いつも目を輝かせている。その姿はお客様や社外の方にも伝わり、「この会社と仕事がしたい」「この人たちと働きたい」と感じてくださる方が増えていく。そして、「清水総合開発の社員は、みんな生き生きしているね」という言葉があちこちから聞こえてくる。

会社の未来は、そうした思いの連鎖によって拓かれていくのだと思います。この景色をいつか現実にするために。これからも社員とともに、一歩ずつ歩んでいきます。